ホンデュラス国は現在「2015年までに、男女すべての就学年齢児について、6年間の初等教育の完全普及と修了を達成する」という目標を掲げ、多くのドナーの支援を得て、様々な取組を行っている。初等教育の現状をみると、純就学率は95%(2000年)と高く男女格差もほとんどないことから、児童の学校教育へのアクセスが改善され、教育の普及が進んでいる様子がうかがえる。
一方、修了率は68.5%(2000年)と低く、教育の質的な側面において十分な改善がなされていない状況が推察される。さらに初等教育修了者のうち、正規の6年間で教育課程を修了できたものは31.9%であり、中退と留年が現在のホンデュラス国における主要な教育開発上の課題となっている。
ホンデュラス国における留年の主な原因は国語(スペイン語)と算数の成績不振である。また、現職教員の資質が低いことが問題としてあげられている。ホンデュラス国政府は「国家再建計画」の柱の一つである「教育再建計画」に基づき、教員養成・再研修システムの改革に取り組んでおり、現在、国立教育大学を中心として「現職教員研修プログラム(Programa
de Formacion Continua:PFC)」を1998年8月から開始している。
日本政府はホンデュラス国に対し、これまで12年間にわたり算数分野の協力隊を派遣し(関連隊員派遣数累積58名)、現職教員研修のための協力を実施してきた。こうした実績が評価され、今般ホンデュラス国政府より「現職教員研修プログラム」のうち、生徒の留年率が最も高い科目の1つである算数科について我が国に協力が要請された。具体的な要請の内容としては、算数の教員継続研修の改善・実施、算数国定教科書教師用指導書、児童用作業帳の作成、児童用標準学力テストを使用した教育評価方法の整備である。
本プロジェクトでは、技術協力プロジェクトとボランティア事業の連携のもと、現職教員の算数指導力の向上を目的として、1年生から6年生までの算数国定教科書教師用指導書・児童用作業帳を開発するとともに、「現職教員研修プログラム」を通じ、これら成果品を活用して算数の現職教員研修の改善を図るものである。
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