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第1~3学年研修報告


シニア隊員
佐藤 徹

2003年9月20日より1123日まで、3県5サイトにてPROMETAM3年生版研修が行われた。その経過ならびに結果を、モニタリング資料等から報告する。

総評

2003年9月20日より1123日まで、3県5サイトにてPROMETAM3年生版研修、8クラスが行われた。研修にあたった日本人講師(JOCV)は主担当8名、副担当5名で、この5名は赴任後初めての研修であった。受講者総数は、215名である。以下、主なトピック毎に概略を述べる。

コーディネーション
1-1【第1~3学年研修】
1-1-1研修進捗状況概要

無事PROMETAM第1~3学年研修が終了。
今回の開始時には教員ストの影響がいたるところに影響を及ぼした。
当初、PROMETAMが加わっているPFC大卒資格取得コースは800人の予定で計画されていた。自費負担が大きく、また政府提案によれば大卒資格を取得しても手当が増額されないとのこともあり、ストの影響から予備登録が満足に実施できず、当初の登録状態は非常に低調であった。このため、トルヒージョ地区では登録者が開催に必要な人数に満たないことが予想され、配属隊員を含む関係者間で協議の結果、新たにラ・リベルタ地区にてPROMETAM研修を開催することが決定した。
ところが、スト交渉の結果、政府が向こう3年間は教員の待遇に関わる法律を変えないと回答した結果、登録者が増大し、最終的には2000人を超える事態となり、PFC事務局は受講者増に対応するため、講師確保に奔走、時間割等も決められず、調整が非常に難航した。
 研修そのものは時間割や成績等、いくつかの課題を残したものの無事233名の合格者を送り出すことができた。残された課題については研修終了後の反省会にてホンジュラス側と話し合い、合意に至った。

1-1-2研修結果報告
1-1-2-1 研修結果
講義サイトおよび実施スケジュール(添付表参照)

サイト名 県名 担当クラス数
下段は開講クラス 期間 時間数 講師
ダンリ エル・パライソ県 1/3 7月24日
~10月2 日 55 時間 田代芳恵
グイノペ エル・パライソ県 1/1 7月24日
~9月5 日 48時間 佐藤奈々、名倉那々子
オコテペケ オコテペケ県 1/2 7月24日
~9月19 日 48 時間 右田真樹子、持永めぐみ
ソナゲラ コロン県 1/1 7月24日
~10月2日 55 時間 上野美奈子、石津美華
ラ・リベルタ コマヤグア県 1/2 7月31日
~11月6日 44 時間 八巻理佳子
ナカオメ バジェ県 1/3 7月24日
~9月25日 39 時間 林大樹、深澤宏美

今講習会からサイトが増え、5県6サイトとなった。各県それぞれ1クラスを担当、ナカオメのみ2クラスを担当した。
PROMETAM以外のクラスが開講されている地区はダンリ:2クラス、オコテペケ:1クラス、ラ・リベルタ:1クラス、ナカオメ:1クラスであり、担当講師(ホンジュラス人)はすべて木村専門家による研修を受けてはいるが、オコテペケを除き研修内容は必ずしも統一されていない。オコテペケでは研修内容および開始時・最終試験ともにPROMETAMと同じ教材が使用され、進度も同一である。
PROMETAMサイトの他のクラスを含むPFC研修の該当コース全体では今期研修で既に第4学年を終了。1から3年生までの復習講座を実施した分、PROMETAM研修は1学年分遅れていることになる。
 日程および時間割はPFC側と折衝を繰り返した結果、今回よりPFC研修コースの1科目を担当する形式となり、標準的には土曜6時間・日曜4時間で隔週6回(最終週のみ5時間)の研修を実施することにより規定の時間数の55時間をカバーすることとなっていた 。ただし実際には限られた日程の中、55時間を確保するのは他の教科とのバランス上無理があり、地域によっては確保できた地域があったものの、受講生の一部からは「算数ばかりが多い」等、不満の声が上がっていた。PFC側の見解によれば、規定の55時間の中には理論部分と実践部分が含まれており、実践部分は課題等で補うとのことであった。なお、講義は通常40時間程度とのことである。
 今回のPROMETAM研修は基本的に55時間を想定して準備されており、時間数が確保できなかった地域は内容を簡略化する等の対応を迫られることとなった。今後学年が上がるに従い、内容も増えてくることが予想され、このあたりの時間数のバランスをどう取るかが課題として残された。

カウンターパートとその業務遂行状態
サイト名 地区教育事務所 PFCコーディネーター
ダンリ Dilma Nufio ◎ Nimia Ardon ○
グイノペ Henri Rodriguez △ Zoila Aurora Herrera ◎
オコテペケ Rosa Margarita Pinto ◎ Rosa Margarita Pinto ◎
ソナゲラ Norma Rivera Navas ○ Jose Agustin Murillo ○
ラ・リベルタ Pedro Armando Machiado ○ Justo Pastor Orellana ○
ナカオメ Pedro Jacinto Toscano ○ Margarita Campos ○

全体に非常に協力的であるが、新しい地区ではやはり双方に慣れていない面が多く、トラブルも多いとの印象を受ける。
地区教育事務所とPFCコーディネーターの役割分担としては、役割分担表(1号報告書添付)に詳細が記述されているが、概略は以下の通りである。
研修の運営全般はPFCコーディネーターが担当するが、隊員は通常地区教育事務所に間借りする形で業務を行っているため、教材の保管や運搬は地区教育事務所に協力を求めることになる。また、授業観察のコーディネートも地区教育事務所に協力を依頼する必要がある。
なお、上記表中には日本に研修に行ったメンバーも含まれているが、帰国後は以前にも増して積極的にサポートしてくれるようになり、顕著な効果があったといえる。

講師による総評(要旨)
■県・地区教育事務所
" ダンリ: 土日のどちらかは必ず教育長が出席。荷物があるときは車の手配もしてくれた。
" グイノペ: 初日モニタリングの際に、教育長が顔を出したのみ。
" オコテペケ: 県教育事務所長 不在の時は代理人が参加。助言や感想、受講生への規則の説明や注意勧告などを引き受けてくれた。
" ソナゲラ: 積極的ではないが、協力的。講習会前に実施した役割分担の会議以降、関心は増した。しかし教育委員会の仕事が忙しく、直接は関与せず。次回研修は来るように依頼。
" ラ・リベルタ: 協力的。
" ナカオメ: 講習初日の挨拶、時間割決定のための会議出席などの支援が得られた。教材運搬やアンケートなど役割への理解はしっかりしている。
■PFCコーディネーター
" ダンリ: 研修には初日のみ出席。進んでは動かないが相談にはのってくれる。
" グイノペ: 講習会中は事務所に出勤。十分な調整・支援をしてもらった。仕事量が多すぎる点が危惧される。
" オコテペケ: 県教育事務所長兼任。上記参照。
" ソナゲラ: 協力的かつ迅速な対応が得られた。多忙なため研修見学は1回。試験には監視に来てくれた。
" ラ・リベルタ: 他教科とのブッキングなどトラブルがあった。会場には来てくれるが、試験監督等は難しい。改善点を話し合う場が持てるとありがたい。
" ナカオメ: 受講生との時間割調整・連絡伝達などを担当。日程の混乱と登録時名簿作成の遅れ、補修時の不在があった。欠かさず会場に居てもらえるのはありがたい。今後はできるだけ教室に来てもらえる方策を考えたい。

教室物理的環境
サイト名 黒板 チョーク&黒板消し 机&椅子 照明 室温 騒音 トイレ
ダンリ OK OK OK OK OK OK OK
グイノペ OK OK OK OK OK OK OK
オコテペケ OK NO OK NO OK OK OK
ソナゲラ OK NO OK OK NO OK NO
ラ・リベルタ OK NO OK OK OK OK OK
ナカオメ A OK OK OK OK NO OK NO
ナカオメ B OK NO OK OK NO OK NO

物理的環境について、チョークおよび黒板消しについてはホンジュラスの慣習上、講師側が準備することになっている。照明、室温、トイレ等に問題が散見されるが、会場となっている学校の予算の関係上、迅速な改善はなかなか期待できないが、継続的に改善に向けて働きかけていきたい。

1-1-2-2 試験結果
試験結果推移
0~10 11~20 21~30 31~40 41~50 51~60 61~70 71~80 81~90 91~100
開始時 63 43 51 39 28 9 7 3 0 0
終了時 15 20 21 31 38 43 31 26 9 5



平均差および標準偏差
平均 標準偏差
開始時 26.6 17.9
終了時 49.4 22.6
平均伸び率 85.7%






SEDE別平均差および標準偏差
ダンリ グイノペ オコテペケ ソナゲラ リベルタ ナカオメA ナカオメB
開始時平均 37.6 28.4 33.2 17.5 28.3 20.9 23.3
終了時平均 56.5 48.6 61.0 40.2 61.7 48.1 41.1
標準偏差(開始時) 16.1 19.3 16.3 12.7 12.0 15.6 21.8
標準偏差(終了時) 16.0 21.3 19.3 25.0 13.3 22.1 22.7
点数伸び率 50.3% 71.1% 83.7% 129.7% 118.0% 130.1% 76.4%

 全体に向上のあとが見られるが、SEDE間による差が大きい。また、試験結果を見る限り、理解が十分でない教員が散見される。
全体の標準偏差が大きいのはSEDE間の格差が大きいことを表している。また、各SEDE内においても格差は見られる。グイノペ、ソナゲラ、ナカオメにおいて教員間に差があり、特に開始時に比べ差が出ているのがソナゲラおよびナカオメである。そのため、この2サイトにおいては後述の通り、補習を実施している。

分野別試験結果推移

整数 足し算・引き算 かけ算 わり算 小数
開始時 25.2 38.7 50.3 24.5 18.5
終了時 52.8 53.1 60.9 40.9 51.6





1-1-2-3 受講者出席状況および成績
受講者出席状況および成績

サイト名 遅刻 早退 欠席 中抜け 受講者数 合格 不合格 中退 最終成績平均
ダンリ - - - - 37 36 0 1 75.8点
グイノペ 15 15 13 3 33 29 0 4
オコテペケ - - - - 38 31 0 7 74.3点
ソナゲラ 7 0 8 0 46 45 0 1 71.8点
ラ・リベルタ - - - - 23 22 0 1 78.8点
ナカオメ A 4 4 9 0 34 32 0 2 77.3点
ナカオメ B 0 5 22 0 38 38 0 0 75.2点
26 24 52 3 249
233
0
16


前述の通り、今回の研修から自己負担額が大幅に増えたにもかかわらず、大卒資格者の給与増額が今後3年間維持されるとの政府発表により、直前での駆け込み登録者が増加した。このため、開始後、高額の自己負担にみあうモチベーションを維持できず、途中で受講をやめる事例が散見される。
最終成績に関しては、1)パイロットプロジェクトであるため、評価の観点からも各サイト間に格差が生じることは好ましくない、2)全体に他の科目では高い成績をつけることが通例となっている中で、算数のみ低い点数をつけるのは受講生の満足度を考慮すると避けた方が良い、3)一度高い成績をつけてしまうと成績を落とすことができず、成績に幅を持たせることが難しくなる等の理由により、80点前後の範囲内で押さえるよう以前の会議において取り決めがなされていた。今回の研修では最終時試験が難しく、結果が思わしくなかったため、多くのサイトでは基準を達成するのが困難であった。そのため、必要に応じて態度点でサイト内一律10点前後の下駄を履かせることにより、最終成績が低くなりすぎるのを防いだ。
また、最終的な合否については、PFCの判断によるとはいえ、60点以下は自動的に不合格となるため、最終試験後、点数が不足する場合には補習等で極力合格させるよう指導することとした。
遅刻・欠席・早退・中抜け等については、一部厳しすぎるとの受講生からの不満はあったものの、PFCコーディネーターを通じ、大学の正規の授業であり、大学の規定に従わなければならないことを説明してもらうことで理解を図った。

講師に対する受講者の評価
第1~3学年復習研修(2004年2学期)
  1. コース全体の構成
    2. 目的が明確
      3. 指導法が適切
        4. 難易度が適切
          5. 評価が適切
            6. 課題(含む宿題)が適切
              7. 講師の授業準備が十分
                8. 教材が適切
                  9. クラスマネージメント
                    10. コミュニケーション
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total
ダンリ 2.9 2.9 3.0 2.9 2.6 2.9 2.9 3.0 2.9 2.6 2.9
グイノペ 2.8 2.6 2.7 2.7 2.3 2.7 2.8 2.9 2.6 2.4 2.7
オコテペケ 2.7 2.7 2.7 2.8 2.4 2.7 2.8 2.9 2.6 2.3 2.7
ソナゲラ 2.9 2.8 2.9 2.9 2.5 2.8 2.9 3.0 2.9 2.8 2.8
ラ・リベルタ 3.0 2.9 2.9 2.8 2.9 2.8 3.0 2.9 2.8 2.9 2.9
ナカオメ A 3.0 3.0 3.0 3.0 2.8 2.9 3.0 3.0 3.0 2.8 3.0
ナカオメ B 2.9 2.8 2.9 2.8 2.6 2.8 2.9 2.9 2.8 2.7 2.8
  2.9 2.9 2.9 2.8 2.6 2.8 2.9 2.9 2.8 2.7 2.8
ABC評価をそれぞれA=3, B=2, C=1として3点満点の数値に換算。

全体として評価は非常に高く、受講生の満足度は高い。ただ、あえて言うなら「5.評価」および「10.コミュニケーション」の数値が比較的低い。
「コミュニケーション」に関しては日本人ボランティアが講師を担当する以上ある程度は仕方がない部分であり、その分、他の部分で補っていると言える。また、多くの隊員にとって今回が初めての本格的な研修であり、今後習熟していくことも期待できる。
「5.評価」に関しては、評価基準を明確にするとともに、その基準がPFCの方針に基づくものであり、その旨PFCコーディネーターを通じて周知することによって対応していきたい。

指導書に対する受講者の評価
教材 全体の構成 内容の分かり易さ 授業での使いやすさ 文字の大きさや編集について 子どもの反応
教師用指導書 78.5 73.8 75.9 74.4 49.7

作業帳に対する受講者の評価
教材 全体の構成 内容の分かり易さ 授業での使いやすさ 文字の大きさや編集について 子どもの反応
生徒用作業帳 86.2 77.4 85.6 77.9 53.3

今回の1~3年生研修で使用した指導書・作業帳は、PROMETAMで作成した教材を基に、隊員達が独自に編纂したものである。研修内容に合わせ独自の工夫も加えられており、隊員編集版としては完成度の高いものではあったが、はじめてこうした教材に触れる受講生にとっては構成や難易度に若干難があったと思われる。
なお、3年生研修までは受講生の担当する生徒に作業帳を配布し、モニタリングによって子どもの反応等を見ていたが、今回は独自教材であるため生徒分までは配布されていない。
最終成績について
最終成績はPFC規定に準じ、100点満点のうち「実践点」60点、「理論点」40点に分け、実践点を課題や態度等で評価。「理論点」については最終試験結果を40点満点に換算して最終成績としている。
PROMETAMでは事前会議にて以下の通り評価をすることとなっていた。ただし、サイトによっては授業内容等に応じて必ずしも標準化はされていない。
なお、今研修においては成績の標準化、および最終的な合否の基準をめぐり、若干混乱が生じたため、反省会であらためて合否基準および対応を明らかにした。


① 大学側の評価の基準の確認(欠席,遅刻、早退の取り扱いも含む)
・ 出席に関する基準は、資料を配り、コーディネーターから受講生に連絡するようにする
・ 60点以上が合格。
・ 合格点に満たず補習を行った場合、備考欄に補習の評価をかく。
② 課題の評価
・ 採点方法は前回と同様
・ 各単元で1つの課題を出す。( )内は点数。
Ⅰ:数分野-10%(3),加法・減法-10%(3) 
Ⅱ:乗法-20%(6) 
Ⅲ:除法-20%(6) 
Ⅳ・Ⅴ:小数-40%(12)
③ 「実践点」の扱いについて、「実践点」の評価基準
・ 各単元で評価し、課題と同様の点数配分。


成績の標準化
 前述の通り、PROMETAMでは最終成績の標準化を行っている。
 概してPROEMTAM研修では隊員は細かく採点基準を設けて成績をつけているため、最終試験の成績如何で規定の範囲内に押さえるのが難しい場合がある。今回については70点以上であれば良いとし、前述の通り、それでも足りない場合サイト内一律で態度点として下駄点をはかせる等で対処したが、あまり好ましい対応とはいえず、基準をどう設定するかが課題として残された。

最終的な合否の基準
 研修を実施したにもかかわらず、成績不良者が出た場合の対処について、一部隊員から不合格の可否について問い合わせがあった。これに対し、あくまで指導力向上を目的とするプロジェクトである事を鑑み、基本的には出席等の条件を満たしている限り、成績を理由とする不合格者は極力出さないとした。
 成績に満たない場合は補習もしくは再テストを実施するが、上記方針に従い、補習を実施した上で合格できるレベルに設定した再テストを実施した。
 具体的にはナカオメ地区で4名、ソナゲラ地区で5名が補習対象となり、補習及び再試験を実施した。(ソナゲラ地区では最終試験欠席者を含め合計6名が受験)
なお、ソナゲラ地区では合格こそしたが成績が芳しくない受講生についても補習を受けることを推奨したところ5名の受講者が自主的に補習を受講した。



1-1-3 第1回研修反省会
事前に隊員間で都合の良い日時を決定の上で実施。ラ・リベルタ地区は最終試験前であるが、研修そのものは終了していることで了解してもらった。
実施内容および議題は以下のとおり。

【プログラム】

年 月 日 時間 場所 活 動 内 容
2004年10月12日 9:00~9:15 INICE INICE所長挨拶
9:15~9:45 INICE 12月集中講座の実施について
9:45~10:15 INICE PFC講習合否基準詳細について
10:30~11:00 INICE モニタリング及び隊員支援経費について
11:00~12:00 INICE 広域研修について
12:00~13:00 昼食
13:00~14:00 INICE 反省会
14:00~15:00 INICE 次回研修用「授業の流し方」作成分担
次回反省会について

【議題】
○反省会(レジュメ項目に従って事前に内容を集約)
○12月集中講座の実施について~日程等~
○PFC講習合否基準詳細について
○「PROMETAM講習会の流し方」作成分担の割振り
○モニタリングについて
○広域研修について

【実施内容】
・研修反省会
 研修で実施した取り組みや、出会った問題点などを明らかにし、共有した。
 主に講師による総評を元に、各サイトから簡単に発表してもらい、相互にコメントする形式で実施した。

・次回研修準備
次回研修実施にあたり、研修の標準化を図るために研修内容を項目別に割りふり、「講習の流し方」を共同で作成することとした。基本的には前回までの流れと変更はない。
あらかじめ「講習の流し方」作成のための項目表をPROMETAM隊員リーダー(ソナゲラ地区上野隊員)に作成を依頼し、専門家にチェックしてもらった上で今回隊員に提示。各サイトで分担を決め、後日取りまとめることとした。

・業務関連の打ち合わせ
合否基準の統一、モニタリング・授業観察の実施についての共通理解、広域研修についての情報共有等を行った。合否基準については添付資料を参照。授業観察については現在各サイト個別で実施しているが、プロジェクトで作成することになっているフォーマット等を使用し、標準化を図ることで合意。

1-1-3-1 講師による総評(運営面要旨)
■PROMETAM
" ダンリ: 行事について各セデや隊員の意見も考慮してほしい。会議の運営をスムーズに。
" グイノペ: 情報が遅れがち。
" オコテペケ: 講習日程・時間割など、講義内容を準備するのに重要な情報およびは,正確なものをできるだけ早い時点で伝えて欲しい。INICE側の視察日程や訪問者・人数の情報は,なるべく早めに。終了時試験は,最低実施一週間前には配送・到着確認を行って欲しい。
" 教員デモの影響やPFC側の準備不足で登録が遅れるということもあり、その影響が大きかったのはわかるが、登録がきちんと終えられていない中で講習会を迎えるのは無理があった。教材不足や授業途中にクラス変更等あり、落ち着いて授業に取り組める状況ではなかった。また、講習開始後の時間削減も含め、今後このような状態にならないよう、PFC側との調整をとってほしい。
" ソナゲラ:専門家、シニア、調整員の視察は、受講生に対するプロジェクトの理解を深める上で役立った。研修期間中の情報共有については課題が残る。
" ラ・リベルタ:情報の早期伝達と確認、また会議時間の短縮が図れるよう、進行の在り方の見直しをお願いしたい。
" ナカオメ:シニア隊員により少しずつ以前より改善、プロジェクトのシステム細部が明確化してきた。早めの連絡をお願いしたい。
■生徒
" ダンリ: 良好
" グイノペ: 大方の受講生が意欲を持ち、主体的に授業に参加していた。疑問点や意見を積極的に発言してくれたため、授業がしやすかった。数名の受講生が規程以上の日数を欠席した。
" オコテペケ:講習会初日にPFCの規定について、PFCコーディネーター代理である第一学区長が説明してくれたこともあり,遅刻・中抜けが大幅に減った。また,講義中の飲食・携帯電話での通話などについても禁止する旨,初日にプリントを配布し,PFCで他教科の講師も務める教育委員会の人間に話をしてもらったところ,それについても改善が見られた。
" ソナゲラ: 出席状況は比較的よい。暑いのにもかかわらず、熱心に取り組んでいた。 遅刻・出欠については問題なし。学習姿勢は個人差があり、一部の受講生においては宿題のコピーやカンニングなどに頼る姿勢が見られた。
" ラ・リベルタ: 遅刻もほとんどなく、特別な理由(出産等)以外は、毎回ほぼ全員が出席している
" ナカオメ: 欠席、早退がめだつ。態度は協力的で良好。

1-1-4 第2回研修反省会
1-1-4-1経緯
第1回反省会はシニア隊員と隊員を中心に実施したが、R/Dに記載された活動としてPFCをはじめとするホンジュラス側との調整を、別途報告を兼ねて実施する必要性があった。また、今回からあたらしくプロジェクトに加わったサイトもあることから、関係者間で研修についての合意と周知をはかるため、すべての関係者を一カ所に集めて反省会を実施することを企画、実施となった。
これまでの反省会ではホンジュラス側からの参加者が非常に少なかったことを考慮し、場所を変えて遠方の関係者が容易に参加できるよう、また多数の関係者を集めることからイベント的に実施するため、ホンジュラス中心部に位置するヨホア湖のホテルを会場とした。


1-1-4-2実施内容
【プログラム】
年 月 日 時間 活 動 内 容 担当
第一部(関係者全員)
2004年11月1日 17:00 集合
18:00~19:00 夕食
19:00~21:00 反省会(グループワーク) ラモン
2004年11月2日 8:00~8:15 INICE所長挨拶 INICE所長
8:15~9:00 1~3学年PROMETAM/PFC講習結果※1 佐藤
9:00~10:00 反省会(全体部会#1) ラモン
10:00~10:30 Coffee Break
10:30~11:30 反省会(全体部会#2) ラモン
11:30~12:30 第4学年集中講習(次回)の実施について※2 PFC
12:30~13:30 昼食
第二部(協力隊のみ)
2004年11月2日 14:00~18:00 次回研修準備 上野
18:00~19:00 夕食
2004年11月3日 9:00~12:00 次回研修用「授業の流し方」作成 #1 上野
12:00~13:00 昼食

反省会は3日にわたり実施。全体を二部構成とし、第一部はホンジュラス側を含む関係者全員が参加。前回の反省点と今後の改善点について話し合うとともに、次回の研修の日程等の確認を行った。第二部は隊員を中心に次回研修の準備を実施した。
今回初めて各サイトの関係者が一堂に会することで、関係者間にプロジェクトに対する積極的な参加意識が生じたことは非常に良い成果だったと思われる。
反省点としては、時間を有効活用するためにグループワークを初日に回したことで、講習結果を踏まえての討議とならず、問題点というよりは賞賛に終始しがちであったことである。グループワークの進行については、フォーマットを含め再検討する必要がある。

1-1-4-3参加者

ダンリ グイノペ オコテペケ ソナゲラ リベルタ ナカオメ
隊員 ○ ○ ○ ○ ○ △1名病欠
PFC本部事務局 ○ ○ ○ ○ ○ ○
PFC地区調整官 ○ ○ ○(兼任) ○ ○ ×
県教育事務所 代理 × ○ ×
地区教育事務所 ○ ○ ○ ○ ○ 代理

ほぼ全ての地区から関係者が出席。ただしナカオメのみPFCコーディネーターが病欠のため、ワークショップを有効に活用することができなかった。それ以外はほぼ全員が出席している。



1-1-4-4全体決議事項
ホンジュラス側との合意事項
■調整
コーディネーターは各研修期間開始時に規則を明示し、研修実施期間において、時間が守られているかどうか、出席の状況はどうか等について問題が無いかどうか確認し、記録する。また、講師及び受講生とともに評価基準を確認し、共有する。
コーディネーターは常にSEDEに常駐し状況を把握するとともに、適宜講師及び受講生の便宜を図る。
■時間割
時間割は各SEDEで作成する。日程については各教科27時間(1時間90分換算)の時間配分を考慮(実践を含む)。算数科については最低48時間(1時間45分換算)の実質授業時間の確保が必要。
次回開始日については県及び地区教育委員会の判断により、12月6日ないし13日に開始予定。ただし期間は週4日6週間を確保しなければならない。
■手法
受講生によるPROMETAM手法が実際に適用されている。コーディネーター、地区・県教育委員長、ボランティアによるモニタリングの際にそれらの知識や手法が実際に適切かどうか観察する必要がある。
■最終試験
最終試験の実施にあたっては、開始時試験と同様、カンニングを防ぐために充分な監督の下で実施しなければならない。地区教育事務所長、コーディネーターおよびボランティアとの連携が必要である。また、開始時および最終試験の重要性について受講生に説明する必要がある。なお、時間は45分。延長は認められない。
■補講および試験の補習
日本人講師の合意の元に実施する。
■PFC規則
規則を厳格に遂行、運用する。
■地区および県教育委員会の支援
視察およびモニタリングの実施のための地区・県教育委員会の支援を強く要請する。



講義実施における物理的環境

ダンリ地区において、コーディネーション不足から、講義開始当初、教室の不足があったものの、全体的にはおおむね良好であった。講義にあたって、ホンデュラスの教育現場では、教員が自分で準備することが半ば慣例になっているチョークや黒板消しも準備されているところが多く、改善が見られる。

受講者の出席状況および成績

先に述べたように、前回の報告を参考に、PFC事務局(教育大学)は新たに受講に関する学生への規定を作成した。そこには、「理由なき欠席は認められない。理由があっても出席すべき日数の最大限10%までの欠席しか認められない」旨が記述されている。全体的には、この規則に従い、出席状況はより改善されたと言える。ただし、以下に別記するような問題が起こったり、トルヒーヨ地区の受講者の中には、大学の講義に対する認識が低く、講義中にもかかわらず教室内での飲食をはばからない者、休憩後の遅刻の多い者が相当数いた。これらの問題には、日本人である隊員には対応が困難な部分も多くあり、上に述べたようにPFCローカルコーディネーター、地区教育委員会の役割分担を明確に定義した文書を作成するなどの対処を行いたい。

成績に関しては、欠席超過による講義未修了者が1名いたものの、評価点自体が60点に満たず不合格となった者はゼロであった。前回同様、非常に高いインセンティブを維持できているといえよう。

問題1
トルヒーヨ地区において、ある男性教員が無断欠席をし、大学規定にのっとり注意を促した隊員に対し、失礼な発言を繰り返した。ローカルコーディネーターから大学規定の説明と注意が行われ、問題行動は収束した 。

問題2
ソナゲラ地区において、ある男性教員が半日の学校行事を理由に丸1日欠席した。大学規定にのっとり注意を促した隊員に対し、成績を下げられると勘違いしたこの教員は、地元のラジオで隊員の名前を挙げて、「愛国心に基づいた自分の教員活動を迫害した」と痛烈な批判を行った。また、その後も、教会活動で2日間授業を欠席すると公言し、隊員から最終試験の受験資格を失うことになるとの注意に対し、地元で署名活動を展開。教員組合、裁判所に提訴し、大手テレビ局にも持ち込むと脅迫まがいのことをした。状況連絡を受けたチーフは、早急にPFC事務局と連絡を取り、事実関係を確認すると共に、現場へ赴き、問題の教員、ローカルコーディネーター、教員が勤める学校の学校長、およびテグシからのPFCコロン県担当コーディネーターとで話し合いを行った。席上、「明らかに大学規定に反した行動」「隊員は規定どおりに注意しただけであり、規定に対し不服があるならコーディネーターに具申すべき」「ボランティアとして協力している日本人講師に対し、不条理にも数々の嫌がらせを行ったのは極めて恥ずべきこと」と大変厳しい批判がなされた。翌週になって本人から謝罪文が届けられ、問題は解決した。

問題3

同じくソナゲラ地区において、ある女性教師が、前回の2年生の研修において6日間欠席し、単位が認められていないにもかかわらず3年生の研修に出席。2年生の単位を認めるよう要求。明らかに、3年生の履修を認めたローカルコーディネーターの落ち度であるが、欠席の理由が妊娠・出産にまつわるものであったこともあり、PFC事務局としては規則を厳格に適応することがためらわれた。結果として、この教員は3年生の研修はこのまま受講させ、2年生分は他地域で行われている同じ名称の科目を履修することとなった。

問題4
オコテペケ地区において、ある女性教師が子どもの病気のため6日間欠席した。しかし、大学の規則を了解しつつも、その後講義に出席し続けた。上記の問題と同様、同義的事情から、争いを恐れた大学は、最終試験を受ける資格があるか否かを判定するテストを実施するようこちら側へ指示した。論理的に筋が通らない対処ではないかと再確認した上で、指示に従い試験を実施。採点はローカルコーディネーターに行わせ、不合格、つまり最終試験受験資格無し。隣県で実施されている同じ名称の科目を履修することと本人に納得させた。

教訓
ホンデュラスでは、文書で規定された規則とその実際の運用とには距離がある。「講義を受講せずに単位が取れるなら大学講義は必要ない」と説明しても、例外はいくらでも作り得るのである。特に、弱い性である女性の妊娠・出産等はやむなき理由であると考えるのが一般的地方ほどその傾向は強く、杓子定規に規則を適用できない。これらの問題に関しては、日本人は前面に出ず、必ずローカルコーディネーターに対処させるべきである。また、ローカルコーディネーターもしばしば不適切な判断をすることがあるので、そのときには責任者である大学側の指示を仰ぐ。

受講者による評価

今回の主力講師はすでに2回以上の研修をこなしている隊員ばかりなので、非常に良好な評価結果で、受講者には満足度の高い講義であったことがうかがえる。ただ、評価が適切に行われているかと言えば、厳しい講師に対してほど辛い評価になっており、必ずしも額面どおりには受け取れないかもしれない。「コミュニケーション」でもっとも評価点の低い講師は、間違いなく語学が一番できる隊員であった。

指導書・作業帖に関する評価
受講者、講師双方からのコメントはおおむね良好であったが、指導書に関して、文字が小さい、作業帳に関して、計算スペースをもっと広くすべきなどの意見が寄せられた。

講義サイトおよび実施スケジュール
サイト名

県名

期間

時間数

Nueva Ocotepeque Ocotepeque 920日から1116 80時間
Trujillo Colón 927日から1123 80時間
Sonaguera Colón 927日から1123 80時間
Danlí El Paraís 927日から1123 80時間
Guinope El Paraís 927日から1123 80時間
教室物理的環境
クラス 黒板 チョウーク&
黒板消し
机&椅子 教材 照明 室温 騒音 トイレ
A OK NO OK OK NO OK OK OK
B OK NO OK OK NO OK OK OK
C OK OK OK OK NO OK OK NO
D OK OK OK OK OK OK OK OK
E OK OK OK OK OK OK OK OK
F OK OK OK OK OK OK OK OK
G OK OK OK OK OK NO OK OK
H OK OK OK OK OK OK OK OK
1.1日あたりの遅刻、早退、欠席、中抜けの各セデごとの割合
2.各セデごとの受講者の平均点
3.受講者の合格、不合格、欠席の数
4.講師に対する受講者の評価(ABC評定のうちAの割合)
指導書に対する受講者の評価(ABC評定のうちAの%)
教材名 全体の構成 内容のレベル 使い勝手 編集 子供の反応

教師用指導書

88.2 84.9 88.1 75.5 79.9

作業帖に対する受講者の評価(
ABC評定のうちAの%)
教材名 内容のレベル 使い勝手 編集 子供の反応
児童用作業帖 93.4 85.9 92.0 90.6 86.7