PROYECTO MEJORAMIENTO EN LA ENSEÑANZA
TÉCNICA EN EL ÁREA
DE MATEMÁTICA
(PROMETAM)
ホンジュラス算数指導力向上プロジェクト
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近況報告2005年3月31日


内容

2004年度第4四半期報告

1. プロジェクトとその周辺状況概要
2. 教材作成
3. 教員研修
4. 中核講師研修
5. その他;特記事項

2005年度第1四半期予定

1.教材作成
2.教員研修
3.授業分析
4.その他;離任にあたっての言葉

2004年度第4四半期報告

1.プロジェクトとその周辺状況概要

 前号でも政治的な動きにホンジュラス教育界が翻弄される年になるのではないかと危惧していましたが、まさにPROMETAMにとっては波乱の年明けでした。1月中頃に教育省より呼び出しがありました、「メキシコにて教材印刷の準備を進めているが、データが開けない。至急対応してほしい」と。教材全国配布はカナダ資金で準備が進んでいること、1回目の国際入札が失敗に終わり、2回目が行われていることはすでにお伝えしたとおりですが、政府は大統領予備選などの政治日程に(パフォーマンスが)間に合わないかもしれないということで、スウェーデン資金を用いてメキシコの国営教科書印刷所にての印刷を模索していました。しかし、詳細は一切知らされていませんでしたので、この時点で事態がどう展開していくのかはまったく分かりませんでした。とりあえず、プロジェクトのITテクニコをつれて教育省へ行きましたが、担当とのやり取りだけでは、どういう状況なのかはやはり分からず、国際電話にてメキシコ側とやり取りするも埒が明きませんでしたので、急遽ITテクニコをメキシコへ派遣することになりました。

 メキシコの国営教科書印刷所は近代的な大量印刷スタイルをとっており、プロジェクトのデータスタイルとは細部にかなりの違いがあるため、かなり本格的な手直しが必要でした。その作業スケジュールも含め、ITテクニコだけでは判断がつかず、こちら側も分からないことが多いため、リーダーが直接出向くことになりました。行ってみて初めて、ホンジュラス教育省がメキシコ教育省と2国間援助で教材の全国配布をすでに進めていることが分かりました。

 データの修正に相当な時間と労力を要するため、メキシコ側から協力の申し出もあったのですが、時間がかかりすぎることをホンジュラス教育省大臣が嫌い、PROMETAMで行うよう依頼され、急遽、教材作成班、研修班、協力隊員も含めたPROMETAM総動員体制で休日返上、明け方までの作業が続きました。ところが、我々現場が必死の作業を続けているにもかかわらず、この事態をスウェーデンはまったく知らされておらず、資金拠出がいつ行われるのかはまったく白紙状態であることが分かりました。当のメキシコ側も知らされていませんでした。ホンジュラス教育省のまったくの政治日程優先で、あきれるほどの身勝手な調整ぶりだったのです。

 我々は、とにかくデータの処理を終え、ホンジュラスに戻ると同時に、西方専門家の強力支援で関係ドナーと会合を持ち状況を共有しました。このままではカナダ資金とスウェーデン資金がダブって支出されることになりますし、また、教材には現政権のロゴマークや大統領、教育省大臣の顔写真まで大きく載せられ、とてもドナーとして承認できるものではありませんでした。そこで、急遽、大統領府大臣、教育省大臣と、世界銀行(スウェーデン資金の手続き担当)、スウェーデン、カナダ、日本で会議を持ちました。その結果、スウェーデン資金での印刷は2005年版、カナダ資金での印刷は2006年版(UNDPの仲介でブラジルの印刷会社が落札)となりました。PROMETAMでは、目下1~3年生版教材の作り直しが行われており、2006年に全国配布を予定していましたが、それは2007年に延期されることになりました。また、現政権のロゴははずすこと、現政権は今年一杯なので、カナダ資金による印刷では大統領、教育省大臣の顔写真ははずすことが決まりました。現在、メキシコでの印刷が行われており、おそらくは4月半ばに完成し、その後1ヶ月程度かけて全国の小学校に配布されることになるでしょう。カナダ資金での印刷は未だに開始されていません。ちなみに、他教科の教材の状況ですが、理科と社会は完成できませんでした。国語は途中からメキシコの教科書の手直しによって辻褄を合わせることになり、算数とあわせてメキシコで印刷されます。結局、まともなホンジュラス教科書はPROMETAMによる算数だけになりました。ほとほと情けない状況です。この一連のどたばたで、教材作成班は大きくスケジュールが遅れてしまいました。今後は、教材全国配布にあわせて行われる教員全国研修が大きな課題ですが、スペインが積極的に後押しするも、教育省からは明確な計画も発表されておらず、先行き不透明です。

 これ以外の動きとしては、アメリカUSAIDが新カリキュラムに基づいた評価に着手しました。現政権とは疎遠なUSAIDですが、早くも次政権を目指して体制作りが行われています。EFAの関連からも評価は重要で、ここでも中心は唯一の国定教材であるPROMETAMです。もう手一杯ですからなかなかプロジェクトのテクニコをこちらの動きに避けないのですが、無視するわけにもいきません。また、ユニセフがPROMETAM教材を活用した複式学級対応教材を作りたいと申し出てきました。こちらも先方がどう動くかですが、知らん顔はできません。

「本当に…、やれやれ…ですね。」(關谷)

2.教材作成

教育省から出向していたRamon氏が本省に戻ることになり、代わりの算数テクニコが2名(1名は広域、1名はPROMETAM)派遣されることになりました。本省では人選が難しいとプロジェクトに任されたため、西方・木村両専門家とDonaldo氏を中心に候補者を探しています。1月下旬から2月上旬にかけてはメキシコでの教材印刷に関わる修正作業等に追われ、1~3年生、7~9年生両チームとも作成業務は停止状態、更に教材の原稿を作る算数テクニコ3名は、3月上旬の広域準備会合、授業評価フォーマット作成への協力等プラスアルファの業務があり、教材作成は1ヶ月半程度遅れています。今月中の1年生版教材サンプル印刷はできませんでした。現在遅れを取り戻すべく必死に作業を進めています。メキシコでの経験からデザインの基本プログラムをInDesignとIllustratorに変更し、ITテクニコも新しいプログラムと格闘しながら更に質の高いページを目指して頑張っています。(阿部)
  作業風景
3.教員研修

2005年1月末にPFC研修Licenciaturaコース「4年生版」が終了しました。教員休暇期間の集中コースであったため、多少過密なスケジュールでの実施となりました。勿論、研修満足度、研修後の学力・指導力テスト等には十分な研修効果が表れています。休む間もなく3月上旬より、前回同様5県6サイトにて「5年生版」が開始されました。3月には平成15年度1次隊現職参加隊員(上野隊員、田代隊員、右田隊員、八巻隊員)が帰国され、17名(シニア隊員2名)の体制となります。帰国前最後の授業で、涙を流しながらのお別れ合唱プレゼント等もありました。活動本当にお疲れ様でした。日本での活躍をお祈りしています。(佐藤・東矢)

4.中核講師研修

2004年12月に5年生の内容で講習をした際、連絡漏れで参加出来なかったLuis Landa(スペイン)の講師約10人に対して、同じ内容の研修を2005年2月23日から24日に行いました。実は、これは初め1月20日からの3日間ということで予定されたのですが、午前中の参加者が4人で、延期になっていたものです。ひきつづいて、25,26日に今度はPFC等の講師も一緒に50人ほどを相手に6年生内容の研修を行いました。
5,6年では内容理解に困難を感じる小学校教諭も多いことをふまえ、「教室で生徒に作業帳を使わせることを恐れないようになる」ことを各講師がその研修会の目標とするよう、作業帳のみを使ってその使用法を説明しました。(木村)

5. その他

特記事項(主な来訪者、行事等)

2005年1月18日~2月10日 メキシコ国営教科書印刷所へ出張(關谷、木村、阿部、Carlos)
2005年1月21日 筑波大学附属小学校細水先生来訪
2005年1月28日 感謝会(高野所長、水野隊員)
2005年2月25、26日 外務省経済協力局佐藤中米担当官来訪
2005年2月28日 中南米教育セクターJICA関係者会議
2005年3月1日 教育セクター広域シンポジウム
2005年3月2日~5日 第1回広域プロジェクト準備会合
2005年3月14日 感謝会(木村専門家、平職員、上野、田代、右田、八巻隊員)










(教育セクター広域シンポジウム)

2005年第1四半期予定
1.教材作成

1~3年生班は1年生版教材を4月末、7~9年生班は7年生版教材を4月中旬を目処に完成し、5月にはサンプル印刷に回す予定です。(阿部)
(引っ越しました)
2.教員研修

休む間もなく3月上旬より、PFC研修「5年生版」が開始されました。前回同様5県6サイトにて6月下旬まで実施されます。週末土・日曜日の研修が中心であるため、各サイトとも研修効果の確認、指導技術定着のためのモニタリング、授業観察を計画しています。5年生学習内容は高度になりますが、隊員の皆さんは既に指導技術の工夫・向上に努めているため、心配はご無用です。(佐藤・東矢)

3.授業分析

いよいよPROMETAMも3年目に突入ですが、さまざまな業務が拡張の一途をたどる中、最後の年は評価が重要な活動になります。その中でも、プロジェクト目標の評価指標である授業分析は最重要活動です。すでに昨年より国内支援委員会の先生方からもご助言を頂きながら、關谷専門家、木村専門家、阿部専門家、東矢シニア隊員、算数テクニコのDonaldo、Victor、Luisと会議を何度となく持ち、準備を進めてきましたが、ようやく3月4日に授業分析ツール西語版(仮)が完成しました。3月7、8、9日には実際にPROMETAMスタッフが現地小学校での授業観察を行い、授業分析ツールの試行を実施しました。試行の結果、及び試行後のスタッフ内での話し合いを受けて、現在最終修正を行っています。今後の予定としては、4月4日から2週間程度、研修実施6サイトの約60の小学校において(30はPROMETAM受講者、残りは対照群)、PROMETAMスタッフ6人および協力隊員による授業分析の実施を考えています。(下田)

4. その他、離任に当たっての言葉

木村専門家

2003年5月20日に到着以来、同じ教材作成担当の阿部さんの足を引っ張りながら何とかここまで引きずられてきました。6年生分までの改訂は阿部さんがやって下さいます(しかし同じような仕事を2002年からずっと。大変です)。また、主に作業帳の原稿のみ残した7,8,9年生分は優秀なLuis、Victor両氏が鋭意補筆しているので読みやすいものが出来ると思います。日本の皆様ご支援ありがとうございました。残って続けられる方々、健康に留意され健闘されることを祈ります。ありがとうございました。
上野隊員(隊員代表)

「あなた達日本人から多くのことを学んだわ。これからもたくさんのことをあなた達から学びたい。」
こんな講習生の言葉が、何よりうれしく、ホンジュラスでの活動の大きな励みとなりました。
ホンジュラスの先生達と共に、「算数授業の在り方を考える」という貴重な経験を持てたことに、深く感謝しています。 ありがとうございました。
平 知子 職員

 PROMETAM関係者の皆様、ホンジュラス事務所在勤中は大変お世話になりました。PROMETAMを担当した2年11ヶ月の間を振り返ってみると、本当にいろんなことがありました。「いろんなこと」の説明は割愛しますが、それらを乗り越えて今のPROMETAMがあるのだと思います。ホンジュラスを発つ前に、一人一人の子供達が教室でPROMETAMの作業帳を使って勉強している姿を見ることが出来なかったのが心残りですが、今後も中米・カリブチームからPROMETAMを見守りたいと思います。皆様のご活躍を心よりお祈りしています。

(以上)